零れた話「身から零れた雫」
身から雫が零れる。
どうやらその雫は水じゃないらしい。
水面に垂らしても波紋が起きない。
私の雫はそっとどこかに消えていく。
この地球のどこかにあるのならいい。
私はこの雫がいつか波紋を起こすのを待った。
待った。こぼすたびに。
待った。
こぼすたびに。
待つと鼻息が荒くなる。
しかし波紋は起きない。
荒くなった鼻息が自分を揺らす。
いつかを待つのはつらいことか。
この姿はどう映るか。
水面に届く前に消えていた雫。
それに気づくのはいつか。